第6章 ※ 再びあなたに逢えたなら
「助けて! 」
男の指が肌に触れた時、ひなたは大声で叫んだ。ずっと締め付けられていた喉から、やっと声が出たのだ。静かな場所にひなたの声は響いた。
「誰も来ねぇよ。夜に出歩くヤツは滅多にいね……」
男はひなたの身体から顔を離した。誰かが、こちらに向かって近づいて来ている気配がする。
「そこに誰かいるのか⁉︎ 」
ひなたはビクッとした。人の声だ!!
「返事しろ!誰かいるのか!! 」
ハッキリと響く声に、ひなたは声を上げた。
「…助けてください! 」
声の主はひなたに答えて大声で叫んだ。
「今行く! 」
ひなたの服に手をかけ、爪を立てていた男が悔しそうに呟いた。
「…チッ…良いとこで邪魔しやがる…」
男はひなたから離れ立ち上がると、こっちに近づいて来る声の主を先に殺ってしまおうと目論む。
「返事しろ!大丈夫か⁈ 」
草むらを掻き分け入って来たのは、身長が190はありそうな大きな男性だった。
暗闇で光って見えたのは、額に巻いた輝きのあるターバンや金の鎖。背中に背負った刀のような刃物の柄らしき物が見える。
その姿を、前にも見た事がある気がした。
隊服を着たその姿が、ひなたを助けに現れると、それまで襲いかかろうと暗闇で待っていた男が背を屈めて逃げ出そうとした。
鬼殺隊のその男が見るからに強そうで、まだ鬼になり立ての自分は勝てないと悟ったからだった。
「お前…匂いは忘れねぇ。じゃあな! 」
男はひなたに囁くと、次の瞬間、暗闇に紛れて姿を隠した。
「おいっ、待て! 」
隊服の男性が何かを投げ、暗闇で弾けた。
「っつっ…!痛ぇ!! 」
素早く逃げていた男の足元で火薬が弾けて男はよろけた。
すかさず、隊服の男性が背中に伸ばした手で刀の柄を掴んだ。
「逃すか、鬼が! 」
素早く攻撃しようとした時、ひなたの弱々しい声がした。
「…すけて…助けて…」
「大丈夫かっ! 」