第6章 ※ 再びあなたに逢えたなら
「大学に入ってからずっと、一人暮らししてたよ。何回か引っ越したけど。ここは前の職場に近かったから」
なかなか立派なマンションだ。そう言えば、不死川は休みもない程、忙しく働いていたと言っていた。スーツを来て颯爽と働くビジネスマンだった不死川の姿が浮かんだ。
「お仕事って何をしていたの? 」
「外資系の証券会社」
エレベーターが止まり、不死川はひなたを先に促し自分も出た。
「どうぞ。殺風景な部屋だけど」
不死川は部屋の扉を開けてひなたを中に入れた。
「お邪魔します」
玄関には観葉植物が無造作に置いてある。廊下には一枚だけ、シンプルな絵があるだけで本当にスッキリしていた。
「広い部屋だね。綺麗に片付いてて」
リビングは広く、家族で暮らせるくらいの部屋だった。壁に掛かったテレビとソファーがゆったりと置いてあり、掃除しやすそう。不死川が言った通り、殺風景と言われれば、そうだなとひなたは思った。
「何も置いてないからな。主に帰って寝るだけの暮らしだったから」
「忙しく働いてたんだね」
ひなたは窓の外を見た。都会の真ん中、ビジネスマンの男性の暮らしを初めて垣間見た気がした。
「座って。今買ったの飲む?冷蔵庫にビールあるけど、飲めないか」
「うん。まだ19歳だから」
「なら、駄目だな」
不死川は林檎ジュースの入ったグラスを二つ持って来た。
「ありがとう。いただきます」
氷と一緒に入った白濁した林檎ジュースは爽やかで美味しかった。ひなたの隣に座った不死川も、グラスに手を伸ばして飲んでいる。
「美味しいね。不死川さんありがと」
ちょっとだけ緊張した。今日はデートで、二人だけで、不死川さんの部屋にいる。
「て、テレビでも観るか?日曜日って何があってる? 」
二人だけなのを意識しているのは不死川も同じだ。気恥ずかしいのでテレビで誤魔化そうとしている。
「えっ…何かな。テレビあんまり見ないな…お宝鑑定は何曜日だっけ、おじいちゃんがよく観てる気がするの」
「ああ!骨董がいくらかってヤツな。俺、たまに観る」
「ほんと⁈ 」