第6章 ※ 再びあなたに逢えたなら
「お父さんお母さん、お帰りなさい! 」
お台所にいた二人はひなたを見てにこやかに笑った。
「ああ。ただいまひなた。遅くなってしまったね」
「ひなたちゃん。お買い物してきたから遅くなっちゃったの。ごめんね」
テーブルに置かれたエコバッグには、スーパーの食材が沢山入っている。
「不死川さんの車があったわ。実弥さん、お夕飯一緒にどうかしら」
下仁田ネギが見えている。お母さんは今夜、すき焼きをするのかな?
ひなたはネギを出してみる。
「不死川先生?さっき庭で見たよ。探してくる? 」
お母さんは太く立派なネギを眺めて嬉しそうだった。
「今夜はすき焼きにしようと思って。おじいちゃまも好きだし、実弥さんもお好きかしら」
お母さんは不死川先生を実弥さんと呼ぶようになった。頼り甲斐のある不死川さんの優しさに、どうやらお母さんは大ファンのようだ。
「お帰りになる前に、ひなたちゃん実弥さんに聞いてみてね。ママ、美味しいの作るから。うふふ」
不死川さん、そろそろお台所の前を通るかな…。
ひなたが不死川の登場を待っていると、不死川がお台所の前を通りかかる。
「おじさん、おばさん。お帰りなさい」
足を止めて、不死川は二人に挨拶をした。さっきまでひなたの身体を楽しそうに弄んだとは思えない程、しっかりした口調だった。
「不死川君、遅くまでありがとう。繭子さんが君を探していたよ」
「何ですか? 」
お台所に入って来た不死川は、ひなたの姿を一瞬見て、お母さんに話しかけた。
「実弥さん、お夕飯食べて行かないかしらって。今夜はすき焼きなのよ。皆で食べたら美味しいわ、ね、ひなたちゃん」
「う、うん」
お母さんはワクワクするといった顔をして言った。
不死川はひなたを見て、残念そうに言った。
「ああ…。おばさん。折角ですが今夜は大学の飲み会があって。帰ります」
「あら、そうなの…。気をつけて行って来てね」
「はい。今度また旨い物食わせてください」