第6章 ※ 再びあなたに逢えたなら
「あ!不死川先生」
「キッチンに持って行くんだろ」
「う、うん。ありがと」
不死川は両手に沢山のお野菜を持って、廊下を歩いて行く。重い野菜と果物ばかりなのに、軽々と運んでくれる。
残りの苺を持ったひなたも不死川の後を追いかけた。
「ごめんね!重いのに」
不死川は振り向いて優しい笑みを浮かべる。
「これくらい何でもない。アオイさんにしっかり料理習っとけよ。色々作って欲しいからな」
「えっ? 」
「…いや、何でもない。ああ、今日は何? 」
「今日はね、チキンと蕪のクリームシチューとフォカッチャに人参のサラダに、チョコレートパフェだって」
「美味そうだなァ」
二人でキッチンに入る。今は授業が始まったばかりで、廊下にも人の気配はなかった。教室からはカナエ先生の可愛い声が聞こえてくる。
アオイさんは来客があって、応接室にて懇談中だ。
不死川は野菜をストックしている貯蔵庫の前に段ボールを置いた。
「それは冷蔵庫だろ? 」
ひなたの手から苺の沢山入った籠を取り上げた。
「うん。ありがと」
不死川は苺を冷蔵庫にしまうと、ひなたに向き直った。
「なァ」
「何?不死川さん」
「…その…。お手伝い終わったぞ」
「ありがとう!助かった。いつもアオイさんと二人で運ぶの大変なの」
「そおかァ。俺も頑張った」
「うん」
ひなたは不死川を見上げてニッコリした。
不死川の頬がほんのりと紅く染まる。
「…ひなたの…ご、ご褒美は…」
「ん⁈ 」
不死川の言葉がよく聞き取れなくて、ひなたは不死川の方へと耳を近づけた。
「……………」不死川は言葉を失った。
そして、ひなたの頬に不死川の唇が、さっと触れる。
「………⁈ 」
ピクっとなるひなた。不死川の唇が一瞬だけど押し付けられ、胸がドキッとした。
「…可愛い過ぎんだよ…」
不死川はひなたとは目を合わさず、さっと動いて部屋を出て行く。
ええええ…!!
ひなたは頬を手で押さえて立ち尽くす。
…いっ、今のは…今のはほっぺにちゅう、だ…。
不死川さんにチュウされてしまった。クールな不死川先生が…。