第6章 ※ 再びあなたに逢えたなら
「ンニャア! 」
猫ちゃんはひなたに撫でろと言わんばかりに背中を向ける。
「可愛いねぇ!よしよしよしっ!」
猫ちゃんを抱きあげて頬にスリスリした。柔らかな猫のほっぺが当たると、悲しかった気持ちが癒されていく。
「んんう!!猫ちゃん、ありがと。今ね、悲しくて張り裂けそうだったの。猫ちゃんが来てくれたから元気になったよ! 」
どこから来たのかな。猫が家に入って来るのは珍しい気がした。
「ニャ! 」
猫ちゃんは可愛らしい声で鳴くと、下に降りたいという顔をした。
「帰るの?お父さん達に会ってからでも良いんじゃないの? 」
お父さんとお母さんを呼んで来ようと思ったのに、三毛猫ちゃんは帰るつもりなのかな。
そっと降ろすと、猫はひなたの顔を見てから、裏庭の奥に走って行ってしまった。
「あ、あれ?どっちに行ったのかな、猫ちゃーん!また来てね」
暗くなった庭の奥に消えたその姿に、ひなたは呼びかけた。
「可愛い猫だったなあ! 」
まるでひなたを慰めに来てくれているみたいだった。おかげで、辛かった気持ちが和らぎ、涙も止まっている。
家に戻りながら、煉獄さんの事を思った。
何とか…何か…。友達になってくれた煉獄さんの為に、何かしてあげられていたら…。
後悔にも似た思いが胸を突き上げてくる。もちろん、あの時代にひなたがいたとしても、非力な自分に出来る事なんてなかっただろう。でも…。
こんな別れ方は辛すぎて、胸が苦しくて疼くのだ。
煉獄さんの事ばかり考えた。ひなたが実際に会った時の、綺麗な笑顔や白い羽織を纏った姿が頭から離れなかった。