• 小
  • 中
  • 大
  • テキストサイズ

『鬼滅の刃』桃寿情炎シリアル

第6章 ※ 再びあなたに逢えたなら


「いや…いやよ…こんなの…!絶対にいや!! 」

 声に出して言った。じゃないと、気が変になりそうだった。自分をしっかりと保つ為、倒れないようにするため、声を出すことで自分を保とうとする。

 机にぶつかるようにして離れ、そのまま部屋を飛び出した。

 廊下を走って玄関から外に出る。泣きながら歩き、裏庭の方まで来ていた。

「…何にもできないの? 過ぎてしまった事で済ませられるの…? 」

 鬼殺隊が活躍した時代はもう過去だ。全てを過去の出来事で片付けてしまえば、激動の歴史で終わる。

 彼らを知らなかったなら、それでも良かったかもしれない。

 でも、ひなたは彼らに会って、身近に接して来たのだ。終わった事なんて、到底言う事などできなかった。

「煉獄さんは、あの若さで死んでいい人じゃないでしょう?…」

 心の中に住んでいる、笑顔の綺麗な、煉獄さんに語りかける。

「もう会えなくても、煉獄さんが笑って人生を全うしてたら、こんな気持ちにはならないのに」

 涙がどんどん溢れてきて、どうしたら良いのかわからなかった。

 たった一人で、裏庭に立ち尽くしていた。産屋敷家の敷地は広いので、裏庭もしっかり広い。輝利哉によって剪定されている盆栽が至る所に置いてある他、調和のとれた庭木と岩とがしっくりと馴染んでいる。

 美しい庭だけど、一人でいると心細くなってくるような裏庭だ。

 でも、家に入る気もしない。一人になりたかった。

 竹製のベンチに座って、ただぼんやりとしていた。

 どのくらいの時間が経ったか、すっかり暗くなった頃、ひなたの足元に柔らかな物がスリスリと、摺り寄せる感じがしてハッとなった。

「ん⁉︎ 」

 なんだかとても気持ちの良い感触に顔を上げる。

「ニャアア」

 優しく小さな鳴き声だった。足元に猫ちゃんがいる!

「君可愛いね!どこから来たのかにゃ? 」

 ひなたは猫を見ると言葉使いが変わるタイプのようだ。

「可愛い三毛猫ちゃん!ふわふわしてるんだね! 」

 スリスリしてくる猫ちゃんにすっかりメロメロになって撫でた。

 

/ 405ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp