第6章 ※ 再びあなたに逢えたなら
そこに最初に記されていたのは、鬼になった女の子の話だった。
「鬼を連れた鬼殺隊士の竈門炭治郎は、妹の、ん?なんて読むんだろう。読めないな、禰󠄀豆子はこの二年間、人を喰った事がないと言った…」
人を襲わない鬼の珍しさが書いてある。
「風柱の不死川実弥は、霧雲杉の箱に入った禰󠄀豆子ごと、座敷に飛び上がると、日の当たらない室内において禰󠄀豆子を箱から出し、不死川は自らの腕を切り、血の滴る腕を禰󠄀豆子の前に差し出した…何、これは…」
不死川とは、不死川先生のご先祖様の、あの不死川さんだろうか。
「鬼の少女は牙を剥き出し、血肉を欲して唸り声を上げたが、不死川に飛びかかる事も、流れ落ちる不死川の稀血の匂いに寄っていく事すらしなかった」
声に出して読んでいたひなたはゾッとした。何て怖い事が、あの屋敷で起こっていたのだろう。
「竈門禰󠄀豆子を生かす事に反対した柱達にお館様は、禰󠄀豆子が人を襲うという証拠もない事、鬼舞辻無惨に遭遇した唯一の隊士が竈門炭治郎である事などをお示しになり、竈門兄妹を保護下の元で生かす道をお選びになった」
鬼となった妹を庇いながら、必死に生きていた隊士がいたなんて。
これはひなたが帰った後の話らしい。そして次の項目では、産屋敷耀哉が、内密に連絡を取り合った人物が、珠代と愈史郎という鬼である事が書いてあった。
「愈史郎⁉︎…って、あの愈史郎っ⁉︎ 」
確か、愈史郎は自分はひなたより歳上だと言っていたし、ひなたと珠代様という女性を比べて悪態をついた事があった。
見た目は若い男の子だけど、時々、聞いた事のない古い言葉を使う事があるな。
「愈史郎…もしかして、鬼なの?愈史郎も人を襲わないって事…?鬼は歳を取らないの? 」
頭の中に次々と疑問が湧いた。不思議な色白の少年は、時代を超えて生き続ける人間でない存在…信じられないけど、そうだとしたら合点がいった。