第6章 ※ 再びあなたに逢えたなら
鬼殺隊祭の日、日差しを避けて涼しい木陰に二人で座って話をした。
焼きたての人形焼きはとろけるように美味しくて、二人で顔を見合わせて笑った。あの時のひなたにはあの時間は永遠ではないと分かっていたけれど。
煉獄さんと過ごした時間が今も忘れられなくて、だから人形焼きを沢山買わずにはいられなかったんだ。
煉獄さんを思い出せるから…。
甘いお菓子を一緒に食べた人がもう、過去の人だと頭では分かっているのに、心はまだ、17歳の煉獄さんが生きているような錯覚に囚われてしまう。
「………そうだ。あの本に書いてあるかもしれない…! 」
おじいちゃんの机の上を見ていて気がついた。産屋敷くいなの記した【産屋敷家備忘録】になら、煉獄さんの事、皆の事が書かれているのでは…⁉︎
「鍵、鍵はどこにあるんだったかな…おじいちゃんはどこにしまったかな」
聞いた気がするけど、はっきり覚えてなかった。おじいちゃんの部屋を見回してみた。いくつかの名工の茶碗が並ぶ中に、蓋付きの青磁の容れ物が目に入る。
国宝とも言われる器の蓋をそっと開けると、中に小さな鍵が入っていた。
おじいちゃんのお気に入りの青磁だから、やはり、大切な物を隠していたのだ。
少し震える指で鍵を取り、引き出しに差し込んでみた。
カチリ。
鍵はすぐに開き、中には備忘録があった。
取り出して開いてみる。
「これを、くいなちゃんが書いたの…? 」
あの可愛いらしい女の子だったくいなちゃんは、大人になりこんなに厚い書物を書き綴ったのだろうか。賢かった幼い時の姿が浮かぶ。
ページを捲ると、美しい文字で手書きで書かれていた。達筆のため、ところどころ読めない字もあったけれど、くいなちゃんの見聞きしたであろう出来事が書き連ねてある。