第6章 ※ 再びあなたに逢えたなら
「今日はお仕事が入ってたの。次はないかもしれないけどね。さ、食べて! 」
皆は焼き立ての人形焼きに次々に手が伸びる。アオイさんが持って来てくれたお茶と一緒に、ワイワイと食べる様子を見ていた。
帰り際の胡蝶カナエ先生をつかまえて、折り詰めの人形焼きをプレゼントした。
「まぁ!ひなたちゃん、私が人形焼きが大好物なのを知っていたの?話したかしらぁ」
カナエ先生は大喜びしてくれた。
「この前の美味しいお茶のお礼だよ。ご家族と食べてね」
「ええ!妹も大好きなのよ。人形町に行ったら必ず買うの。ありがとう」
カナエ先生は、綺麗な瞳をキラキラさせて喜んでくれて、プレゼントして良かったと思った。
「そうそう、不死川先生もお好きなのよ。餡子が大好きなの、彼」
「そうなの?じゃあ、不死川先生の分もとっておこうかな」
「ふふ、そうして。ではひなたちゃんまた明後日ね! 」
カナエ先生が帰って、アオイさんも帰って生徒さんがいなくなった屋敷にはまた静けさが戻る。
夕暮れて、少しずつ暗くなっていく窓の外。ふと、この前まで過ごした産屋敷の家の事を思い出した。耀哉とあまねが主に過ごしていた屋敷は、この家ではなかったけれども、こことよく似た家だった。
夕刻になると、それまで家にいた手伝いの人達はそれぞれのお宅に帰ってしまうから、広い家には家族だけになって、あまねさんが美味しいご飯を作って家族で食卓を囲んでいたな。
あまねや耀哉が忙しい時には、手伝いの人が作った食事を子供達だけで食べる日もあったけれど、食事を大切にしていたあまねは、なるべく手作りの物を子供達と耀哉に食べさせた。
産屋敷家だからと、豪勢な食事が並ぶわけでもなく、当たり前に滋養のあるお料理だったな。どれもとても美味しかった。
「茄子の煮たやつ、胡麻豆腐のお味噌ソースかかってるの、梅のお醤油漬けも美味しかったな…」
夕暮れになると、夜ご飯の時間を思い出した。