• 小
  • 中
  • 大
  • テキストサイズ

『鬼滅の刃』桃寿情炎シリアル

第6章 ※ 再びあなたに逢えたなら


「おじいちゃん、お茶どうぞ」

「ありがとう。良い色だね」

「カナエ先生がね、おじいちゃんに飲ませたいって持って来てくれたの」

 食後に緑茶を淹れて、二人で飲んでいる。瑞々しい緑色のお茶は、口当たりが良く甘くてまろやかだ。

「美味しいね、おじいちゃん! 」

「本当に美味しいね。カナエ先生にお礼をしないといけないな。カナエ先生は甘い物が好きなんだよ」

 輝利哉は先生達の好みを知っているようだ。

「そうね。クッキーとかケーキを良く食べてるね。何かお礼にお菓子を買ってくるわ」

 ひなたは明後日、モデルのお仕事が入っていた。お仕事の帰り道で、何か買ってこよう。

「ああ、ひなた」

 明後日のお仕事で行く場所の事を考えていたら、輝利哉に名前を呼ばれた。

「ん?なあに」

 輝利哉はゆっくりと立ち上がると、書斎の鍵のかかっている引き出しを開けて、一冊の本を持ってきた。

 丁寧な手仕事で製本されたと思われる、藤の花の印のついた本。カバーは墨色で分厚く、およそ本屋さんでは見かけた事のない美しい本だった。

「私は倒れる前に、ひなたに話したね。白梅の盆栽をひなたに託したいと考えている事を」

 輝利哉は窓辺に置かれた白梅の盆栽に目をやる。あの夜、慌てたひなたが、幹の流星群の中に隠した、あの白梅だ。

 不思議なことに、ちゃんと輝利哉の元に戻っていた。

「目覚めて、一番にしなければならないと思ったのは、ひなたに、この本の事を話して、読む事ができるようにしておきたくてね」

「それって、もしかして」

 前に聞いた事のある、産屋敷くいなの書いたという、日記の事だろうか。

「そうだよ。産屋敷くいなの記した、備忘録だよ」

 パサり。ひなたの前に静かに置かれたその本は、まるで本自体が息をしているように見えるほど、存在感があり、堂々としていた。

 
/ 405ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp