第6章 ※ 再びあなたに逢えたなら
「うん!もうすっかり元通りだよ」
愈史郎がくれたお薬を飲んだら、身体が軽くなって元気になった。
「ありがとう愈史郎。色々と心配かけてごめんね」
無事にこの時代に帰って来られた。皆のおかげだ。
素直なひなたに、愈史郎は少し言葉に詰まってしまった。本当に心配だったのだ。愈史郎はよく知っている。大正のあの時代、沢山の素晴らしい人に出会いもしたが、同時に、恐ろしい存在も息づいていた。
危険は隣り合わせだった。
「座ろう」
愈史郎はひなたと竹製のベンチに腰を下ろした。
「とにかく無事で良かった。お前が楽しかったと言えるのは良かったが、それは、お前が周囲の人間に守られていたからだ。あの時代は、鬼殺隊なしには生きていけないような怖い世界だったんだぞ」
愈史郎の声はさっきよりも穏やかになっていたけど、大正時代の事を話す愈史郎の目は厳しかった。
「だからもう、勝手に行ったり来たりしては駄目だからな」
念を押すように言う愈史郎が優しいので、ひなたはコクコクと頷いた。
「分かったよ。愈史郎くん」
17歳くらいの少年の愈史郎が、まるでひなたの年長者のように話すのが面白くて、ひなたはクスクス笑ってしまう。
「愈史郎っていくつなの? 」
ひなたが愈史郎の顔を見ながら聞くと、愈史郎は赤くなった。
「幾つだって良いだろ!ひなたより知能も年齢も上だっ! 」
「嘘だね!! 」
知能はともかく、年齢は下の筈だ。
「嘘じゃない!!俺は東京帝国大学に進学が決まっていたんだ! 」
愈史郎は立ち上がる。
「帝国大学って聞いたことないんですけど。嘘つくのやめなよ、かっこ悪い」
「やっぱりバカだなお前。どん底そこそこ醜女」
帰ろうとした愈史郎は、やっぱり座り直した。
「不死川に謝っとけよ。お前を発見して目を覚ますまで側を離れなかったんだから」
愈史郎はひなたの元気そうな顔を見て安心したので、帰りはほっとして、ひとりでに笑いが出た。
「珠代様、ひなたはあなたの薬によって副作用もなく元気になりました。あなたの遺して下さったお薬は、今も、僕の大切な人を守ってくれています」