第6章 ※ 再びあなたに逢えたなら
「おじいちゃん、産屋敷家の元気な白梅をもらってきたよ。ほら、見て! 」
持って帰って来た小さなひと枝を、輝利哉の手に持たせてみた。
「先生、目を開けて、握ってみてください」
時々、目を覚ますけれど、一日のほとんどを眠っているという輝利哉は、ひなたと不死川が呼びかけても目を覚さない。
「ひなたがいない間も、ずっとこんな状態だったんだ」
不死川は心配そうな視線を輝利哉に向けた。
「おじいちゃん。私ね、耀哉さんとあまねさんに会って来たよ。二人共、すごく優しくて、一緒に過ごして幸せだったんだ。おじいちゃん、あんな立派なご両親に育ててもらったんだね」
ひなたは輝利哉の頬を撫でた。涙が込み上げてくる。
「耀哉さん達のこと、もっと話そうよ。目を開けてよ…」
枝を見せたら、目を開けて笑ってくれると思っていたのに、輝利哉に変化はなく、目を開けてはくれなかった。
「ひなた、先生をそっとしておこう。お前の声は届いてる筈だから、ひなたが泣いてたら先生も辛くなってしまうかもしれないだろォ」
「そうだね…おじいちゃんごめんね」
二人で輝利哉の部屋を出て、お台所へと行った。お台所からは良い匂いがしていて、お母さんがお料理を作っていた。
「不死川さん、ひなたちゃん。もうすぐお昼ができるから、待っててね! 」
お母さんはお鍋の中を木べらで混ぜながら言った。
ひなたが帰って来てから、お母さんはすっかり元気を取り戻していた。
日曜日の今日、学校がお休みなので、屋敷には家族と不死川さんだけだ。
「おばさん、大丈夫ですか?無理しないでくださいよ」
急に元気になったお母さんを気遣うように不死川は声をかけている。
「不死川さん、ごめんなさいね。なんだか安心したらお腹が空いてきたの。みんなにも美味しいご飯を食べさせたくって! 」
張り切るお母さんの姿を見て、不死川とひなたは二人で顔を見合わせた。
ひなたが帰って来てから、両親は弾んでいる。心配をかけてしまった事を痛感してしまった。
不死川は布巾を洗ってテーブルを拭くのを手伝っている。
「ひなたは座ってろ」
お母さんをさりげなく手伝ってくれる頼もしい不死川を座って見ていた。