第6章 ※ 再びあなたに逢えたなら
再び目を覚ました時、ひなたの側には変わらず不死川さんがいた。
「目が覚めたか?よく寝てたぞ」
不死川さんは優しい声で囁いた。
「…怒らないの?私、急に消えたでしょ 」
グラスにお水を注いでいる不死川の方を見て尋ねてみた。先程、愈史郎が飲むように言っていたお薬を飲む用意をしてくれている。不死川は白い錠剤を取り出して指先につまんだ。
「怒りたいさ。怒鳴りたいくらいにはな。…でも、また会えた方が強いから今は、怒るのは控えておく」
不死川さんのきれいな手を見ていた。
「ごめんなさい…でも、仕方なかったの」
起き抜けで、声が出にくい。きっと不死川さんに怒られると思っていたから、怖くて小声になってしまった。
「分かってる。全部、愈史郎に聞いた。ひなたがいなくなった日の夜に起こった事は」
不死川は寝ているひなたの額に触れた。
「大変だったんだよなァ。産屋敷先生の白梅の盆栽を守ったんだろ? 」
不死川の指先が優しく触れて、ひなたは気持ち良くて微笑んだ。
「うん。照子叔母さんと憲伸君から、おじいちゃんの白梅を守ったよ」
「偉かったぞ」
不死川はひなたを撫でる。凄く優しい不死川にまた会えて、ひなたは嬉しかった。
「私、どうやって帰ってこれたのかな。産屋敷家でお掃除してたのに」
不思議だった。急に目の前の空間が歪んで、時空が変わって…。
「愈史郎にも詳しいことは分からないらしいが、お前は井戸の近くに倒れていたんだ。偶然通りかかって見つけたから布団に運んだ。それから、目を覚さないお前に愈史郎が気付け薬を飲ませて目が覚めるのを待った」