第5章 流星群が誘う旅
蜂に驚いたひなたは、ラムネを放り出して飛び上がった。
ラムネの瓶は宙を舞い、杏寿郎が伸ばした手の中に綺麗に収まる。
「ひなた、大丈夫だ。蜂はもう行ってしまった」
杏寿郎が上手に蜂を逃してくれたようだが、ひなたは怯えてしまって手が震えていた。
「ごっ、ごめんなさい。ビックリして」
杏寿郎はひなたの震える手を見て、怖がりな一面がある事を知った。
「飲んで、ゆっくり息をして」
ひなたにラムネを持たせる。一口飲んだらホッとした。
「震えが止まったな」
「うん」
隣に杏寿郎がいるからか、落ち着くのが早い。
「ありがと、煉獄さん。ごめん、話の途中だったのに」
ひなたはさっき中断された話の続きをしようとした。
「いいんだ。ひなた、無理強いはしたくない」
杏寿郎が柔らかく言った。ひなたは、杏寿郎の方を見る。
「煉獄さん、どうして私を誘ってくれたの?耀哉さんから聞いたんだけど、継子を育てるって大変だって聞いたの」
前を見ていた杏寿郎は、ラムネの瓶を握った。
「ひなたと一緒に闘ってみたいと思ったんだ」
「私と? 」
「ああ」
ひなたは杏寿郎の横顔を見た。鼻が高く端正な横顔だ。17歳らしい、若く透明感のある少年の面影の残る横顔。
…煉獄さんって、綺麗だな。
「俺は、物心ついた時からずっと、鬼殺隊に入る事を目標にしてきた。一心不乱に武芸に打ち込んで、他の事も目に入らない程夢中になった。女の子は皆おしとやかに育つものだと、俺の周りにいる女の子を見て思っていたが、君みたいな子もいると知ったんだ。
鬼殺隊の女性隊士は、厳しい環境の中で鍛錬をしているから別格だが、産屋敷家の中で育った女の子が君みたいに元気な子で驚いた。友人になって思ったんだ。君と鬼殺ができたらと」
杏寿郎は切々と語った。