第5章 流星群が誘う旅
ひなたは、杏寿郎の言葉に胸がじーんと温かくなった。
この時代に来て、自分の事を友人だと言ってくれた煉獄さん。初めてのお友達だ。先日会った後藤さん兄妹もそうだけど、すごく良い友達ができた。
それが凄く嬉しくて、益々この時代が好きになる。
「だからと言って、気にする事はない。君を継子にしたいと思ったのは本当だが、この話はこれで終いにしよう。悪かった」
杏寿郎は優しく微笑んで言った。
ひなたは胸が苦しくなった。
「煉獄さん!私には事情があって、煉獄さんの継子にはなれないの。それは今、話せないけれど、私も、煉獄さんと一緒に鬼殺隊をやりたい。これは本当だよ」
ひなたは杏寿郎の瞳を見ながら言った。心を込めて。
「よく分かった。ありがとう。君は俺の友人だ」
爽やかなそよ風が吹く木陰で、二人だけで大切な話をしている。そんな気がした。みずみずしい青年の杏寿郎とこうして一緒にいる今が、とても貴重な時間だと思える。過去に遡って、こんなに良い人に出会えて良かった。
「…ありがとう。煉獄さん」
かっこいい煉獄さんと、並んでラムネを飲んだ。
「あっ、そうだ!人形焼きを食べようよ」
ひなたはバッグの中から、輝利哉が買ってくれた包みを取り出した。茶色の紙袋の中には柔らかい人形焼きが四つ入っている。
杏寿郎に三つあげて、ひなたも一つもらった。
七福神を型取った人形焼きは、甘い餡子の香りが鼻腔をくすぐる。
杏寿郎と笑い合うと、同時に口に入れた。
「うまい! 」
「おいしーい! 」
こし餡がとろけるようで、ひなたも杏寿郎も顔を見合わせる。
「人形焼きって、たまにしか食べなかったの。こんなに美味しかったんだ! 」
「これは特別、うまく感じるな」
煉獄さんと一緒に食べるから?それともお腹が空いていたからかな。
忘れられないくらい、美味しかった。