第5章 流星群が誘う旅
「私はお手伝いだけだから。耀哉さんは隊士の名前を呼んで話しかけていたの。亡くなった隊士の名前を全て覚えているなんて、びっくりしたの」
杏寿郎はうんうん、と頷きながら聞いていた。
「俺も聞いた事があるな。お館様は、亡くなった隊士の事を知っておられると父が言っていた。そして、瀕死の隊士の枕元で励ましたり看病をなさったりされると」
「そうだったの…」
墓地に着いた。杏寿郎も花束を手にしている。用意して来たのだろう。
「お館様はそういう御方なんだ。だから隊士は皆、命を懸ける事ができる」
杏寿郎は、墓地の入り口に設けられた献花台に持っていた花束を置いた。
「歴代のお館様、柱の方々、育ての皆さん。隠の方々、鬼殺隊士。そして鬼の犠牲となった方の尊い命が、安らかでありますように」
杏寿郎は静かな声で呟き、両手を合わせる。ひなたも真似をした。
お参りを済ませると、杏寿郎はお墓に深々と頭を下げた。
「さあ、では行こうか」
「うん」
また歩きだす。今度は露店に向かう人に紛れて歩いた。
ひなたが来た時よりもずっと人が増えている。任務が終わった隊士達が、続々と到着しているようだ。隊服を来た隊士の他にも、色んな人が訪れていた。
「隊士の家族や、縁のある人も沢山来るんだ」
杏寿郎はすれ違う隊士と挨拶を交わしながら歩いた。
確かに、老若男女が沢山来ている。参道にも増えている露店を目当てに来ている人達の姿も沢山いて、露店が並ぶ通りは賑やかに変わっていた。
「わぁ、人が沢山いるね!ひなきちゃん達すぐに分かるかと思ったけど、人が多すぎて探せないなぁ! 」
ひなたがキョロキョロと見回すと、杏寿郎はクスリと笑った。
「また肩車するか?一瞬で見渡せるぞ」
「やだよ。目立っちゃうでしょ!煉獄さん、ただでさえ人の目を引くのに。気づいてる? 」