第5章 流星群が誘う旅
「行冥、今朝は早朝からありがとう。毎年、君が花と水を運んでくれるおかげで、私達一家は隊士が到着する前に全てのお墓にお供えを済ませられるよ」
耀哉もあまねも、悲鳴嶼さんに礼を述べた。
「お館様御一家の方こそ、墓全てを整えられ隊士達がお参りしやすいようにして下さいます。そのお心遣いに感謝致します」
悲鳴嶼さんは深々と頭を下げ、丁寧な言葉使いで礼を伝えた。
「これは私達の仕事だから。当たり前だよ」
耀哉は何時間も熱心にお花を捧げたとは思えない程、疲れを感じさせない優しさの溢れた態度で行冥と話をしている。
「では、私達は本堂へ行こうか」
耀哉はあまねの手に触れて言った。お参りが済んだら本堂へ行き、ご住職と話があるそうだ。
耀哉と亜貴光が本堂にいる間、あまねと子供達は露店でお買い物をするそうだ。
子供達はこれが楽しみらしい。もちろん、ひなたも楽しみにしていた。
「では、行冥。失礼するよ」
耀哉とあまね、亜貴光。そして子供達は本堂に向かって歩き出す。広い墓地にはもう沢山の鬼殺隊士がいた。普段、なかなか目にする事のない産屋敷耀哉とその家族を一目見ようと、隊士は誰もが耀哉達を見ている。
すれ違う隊士に挨拶をしながら、耀哉はゆっくりと進んだ。
お墓の入り口の石段の辺りにさしかかった時、杏寿郎が現れたのが見えた。
「あ、煉獄さんだ! 」
ひなたの声に反応した耀哉が立ち止まる。
「杏寿郎かい? 」
「はい。あそこに金髪の人が」
石段を降りていた杏寿郎は、耀哉の姿に気が付き、急いで石段を降りて来た。
杏寿郎の白い羽織が風に舞い、その姿の美しさが目を引いた。
杏寿郎は耀哉の前に来ると頭を下げた。
「お館様、おはようございます」
「杏寿郎、来てくれたのだね。任務も忙しい中ありがとう」
杏寿郎は、耀哉と一家に笑顔で挨拶をした。あまねと子供達も丁寧に挨拶を返す。
「任務が終わった所です。こうしてお館様にお会いでき何よりです」
杏寿郎は溢れるような笑顔になって言った。