第5章 流星群が誘う旅
「皆、準備はできたかな。そろそろ出ようか」
「お父様! 」
襖が開いて、耀哉が入って来た。絽の江戸小紋に紫苑色の薄い羽織姿の耀哉は美しくて、子供達は耀哉を見て嬉しそうだ。ひなたも見惚れてしまいそう。
「ひなき、にちか、輝利哉、くいな、かなた。とても可愛いよ」
耀哉は子供達の着物姿を見て満足そうに微笑んだ。
「ひなた、君も凄く綺麗で可愛いよ。そうだね、あまね」
あまねは頷いた。
「ええ。皆とても可愛いらしいわ。行きましょう」
産屋敷家からお寺までは車で30分程だった。今日も運転をしてくれている産屋敷亜貴光さんも一緒だ。
お寺に着くと、参道に入る前の道から、露店がズラリと並んでいた。
人形焼きの焼ける甘い香りがしている。水飴はカラフルで、飴細工のお店、面白いお面のお店は狐やひょっとこの顔がある。食べ物だけではなく、ガラス細工や藤の籠などの民芸品が沢山並ぶ露店の前を歩いて参道へと向かいながら、くいなちゃんと輝利哉君と手を繋ぐ。
「美味しそうだなぁ! 」
甘い人形焼きの香りにひなたの視線は、職人の手元に釘付けになっていた。
「ひなたちゃん。お参りが済んだら、お母様に買ってもらおうね」
輝利哉はひなたを見上げて優しく笑った。
「う、うん! 」
まだ六歳くらいなのに、露店にはしゃぐ事もなく、落ち着いた輝利哉君達を見ていると、ひなたは恥ずかしくなった。
もう19歳だというのに、この子達よりずっと幼いんだもの。
参道を抜け、本殿で挨拶を済ませる。住職さんとお弟子さん達が、耀哉を出迎えてくれた。
「では、行こうか」
耀哉一家はまた歩き出す。