第5章 流星群が誘う旅
「君に話したかったんだ。俺は、柱になった」
そうだ。俺は、母上との約束を果たして柱になれた。子供の頃に、もう長くない母と話したあの日の約束。忘れもしない。柱となる為に積み重ねてきた毎日を。
「ひなたに早く話したくて」
ひなたは杏寿郎の顔を見ていた。遠くからは分からなかったが、近くで見ると杏寿郎の顔色は先日見た時よりも青い。
まだ怪我が充分に回復していないのだろう。隊服を着ていて、肩や腕の様子は見ることができないけれど、きっと脱いだらまだ傷はあるのだと推察できた。
耀哉に呼ばれたから、大丈夫だと返事をして来たのだろう。
そんな杏寿郎が自分に、柱になった事を言いたかったって…。
「煉獄さん。柱って、なるの大変だって聞いたの。昇進っていう言い方でいいのかな…。煉獄さんおめでとう! 」
まだ10代に見える煉獄さんが、命を懸けてやり遂げた。その事はひなたにも分かる。ひなたは杏寿郎の瞳を見つめて、心を込めて言った。
「おめでとう、煉獄さん!凄いね!! 」
その瞬間、杏寿郎の心臓が大きく跳ねた。血が一気に身体を巡るような、呼吸を極めた杏寿郎でも、初めての感覚を覚えた。
「ありがとう…!ひなた」
今のは何だったのだろう。一瞬、胸が開放された気がした。
「煉獄さんの昇進祝いしないとな。柱記念に! 」
ひなたは元気に言った。この時代でお友達になってくれた煉獄さんをお祝いしたい。
「煉獄さんは、鬼殺隊祭に来る? 」
杏寿郎は頷いた。まだ心臓が脈打っていた。
「お館様も参加される大祭だから行く。鬼殺隊にとっても大切な行事だな! 」
「私も行くの。じゃあ、その日会えると良いね!会えたら、露店で何か買ってあげるね」
くいなちゃんに聞いたのだ。その日はお寺にいくつもの露店が並ぶと。
個性的なお店も多いから、とっても楽しいと言っていた。