第5章 流星群が誘う旅
「やあ!産屋敷乙女。変わりなかったか? 」
不死川さんが歩き去った後で、杏寿郎とひなたはお互いに向き合った。
「うん。元気だったよ。煉獄さんは? 」
「俺は少し怪我をしたが、大丈夫だ! 」
明るく言った杏寿郎を見ていて、ひなたは杏寿郎が怪我を負っている事を知る。
「煉獄さん、怪我していたの? 」
隊服を着ていて気が付かなかったが、服に隠れている部分に包帯を巻いている。近づいて見て初めて気づいた。
「腕と脚を負傷したが、もう治ってきているから心配しないでくれ」
ひなたの顔が曇っていたので杏寿郎は心配しないように言った。
「どのくらい怪我したの?まだ痛むよね、鬼と闘ったからなの⁉︎ 」
鬼など見た事がない。そんな怪物と、人間の煉獄さんが戦うなんて、想像もできないのだ。現実味がなさすぎて。
「これは俺が背負うべき任務だった。父に任されている地域で起きた事だし、お館様は俺に討伐を命じられたんだ。俺は任務を遂行したまでだ。もちろん、鬼殺隊の仲間もあの日、同じ任務についていたから皆でやった事だ」
杏寿郎はひなたに語りかけるように話した。あの日、下弦の鬼と対峙した杏寿郎は深傷を負った。十二鬼月に遭遇する事は、隊士にとっても稀だ。柱さえ、滅多に遭遇しないのだから。
しかも、今回の鬼は下弦の弍。杏寿郎にとっても、大変な闘いであった。
だが、それを話してひなたに悲しい思いをさせたくはない。
杏寿郎はそれよりも、もっと言いたい事があったのだ。
「ひなた」
杏寿郎の声が頭の上で優しく響く。ひなたは見上げた。
「何? 」