第5章 流星群が誘う旅
さっきひなたを肩車をしたり軟膏を塗ったりしたからか、杏寿郎も親しみを込めて聞いた。
「私は、産屋敷ひなただよ。煉獄さんは? 」
「俺の名前は煉獄杏寿郎だ。ひなた、ありがとう。また会おう! 」
煉獄杏寿郎はそう言うと、さっと身をひるがえして歩いて行った。杏寿郎の羽織がひらりと風に靡く。背の高い杏寿郎にマントは似合い過ぎて、颯爽としている。
「ありがとう!煉獄さん!任務、頑張ってね! 」
手を振りながらひなたが言うと、杏寿郎は振り向いて頷いた。
「行っちゃった。渡せて良かったあ!それに、これも良かった! 」
ひなたは手の中の白梅の枝を眺めた。
煉獄さんに手伝ってもらって、いい枝がとれた。
「ひなたさ〜ん!さっきはどこにいらしたんですか。お茶をお持ちしました。
あら、さっき一緒だった隊士の方は? 」
屋敷の方から産屋敷亜貴光さんがお盆を抱えてやって来た。
「お茶とお団子の用意ができたので持って来ました。もう帰られたんですか? 」
産屋敷亜貴光さんは、煉獄さんが消えた方角を眺めて呟く。
「はい。これから任務があるんですって」
産屋敷さんは残念そうにした。
「甲の隊士は凛々しいな。彼は近い将来、柱になるでしょうな」
「柱、ですか」
「そう。柱は鬼殺隊の最高の位ですよ。さ、ひなたさんもお茶を」
木の下で亜貴光さんと並んでお茶を飲んだ。
お団子は抹茶が練り込まれていて、もっちりしている。
「美味しい!お茶の香りがする! 」
「きな粉が合いますね。ひなたさんと食べると旨いなあ」
亜貴光さんは朗らかに笑った。大正の紳士はなかなか素敵だ。亜貴光さんは洋装でシャツとベージュのスラックスを着ている。蝶ネクタイが凄く似合っていた。
煉獄さんの言ってた任務って何だろう。今日は特別な任務だって言っていた。