第5章 流星群が誘う旅
「これを、俺に? 」
杏寿郎は軟膏を受け取って見つめている。
「うん。鬼殺隊って怪我するんでしょう?よく効くみたいだから、いつも使ってね。腕は大丈夫? 」
杏寿郎は頷いた。
「任務には何の支障もない。心配なしだ! 」
「やっぱり見せて。不死川さんに報告するから」
この前みたいに杏寿郎の腕を持って袖をめくろうとしたら、杏寿郎は手を引いた。
「だから大丈夫だと言っているだろう…」
杏寿郎は頬が熱くなるのを感じた。この娘はすぐに触れてくるな…。
「見せて!軟膏早く塗らなくっちゃ! 」
ひなたは杏寿郎の袖を掴むと、ささっと上げた。
「あ!やっぱり、まだ少し赤いよ。痛そうだよ」
ひなたは杏寿郎の持っている軟膏を取ると、指に取った。
爽やかな生薬の匂いがした。いかにも効きそうだ。パッケージも大正のレトロな感じの絵が描いてあり、お土産にしたら皆喜んでくれそうだ。
良い物が買えたと嬉しくなってしまう。
杏寿郎の赤くなっている腕に塗り広げる。杏寿郎は10代なのか、肌がツルツルとしていて、しっかり鍛えているせいか腕が筋肉質だ。
「そっちも貸して。お礼だから」
杏寿郎の反対の腕にも塗る。軟膏が染み込むように、一生懸命に塗るひなたの顔を杏寿郎はじっと見た。
他の誰かが見たら、木の下で二人が手を握り合っているように見えたかもしれない。でも、広い庭には杏寿郎とひなたしかいなかった。
「また夜につけて寝てね。弟さんに塗ってもらったら良いかも! 」
煉獄さんは自分では塗らない気がしたので念を押してみた。
杏寿郎は頷く。
「自分で塗る。とても気持ちが良かった。ありがとう!…産屋敷乙女は何という名前だ?聞いていなかった」