第5章 流星群が誘う旅
ひなたの頭の上にぽん、と温かな手が乗った。
優しい感触に顔を上げる。
「君の気持ちは、その白梅と共にきっとお祖父様に届く」
瑞々しい赤い瞳には優しさが沢山詰まっていた。
「だから、泣かないで頑張ろう! 」
ぽんぽん、と2回、優しくひなたの頭に触れて、煉獄さんは微笑んだ。
「うん…。ありがとう、煉獄さん。頑張れそうだよ」
今からまた時空を超えて帰ります。色々不安はあるけど、煉獄さんに会えて良かった。
ひなたの言葉に煉獄さんは頷いた。
「よし!では俺はそろそろ戻る。今日は大切な任務の日なんだ」
杏寿郎は胸のポケットから懐中時計を出して見た。
「大切な任務って?忙しかったのに、わざわざ来てくれてたの? 」
ひなたが驚いて聞くと、杏寿郎は特有の爽やかな顔になる。
「家に尋ねて来るほど火急の用かと思ったから。役に立てたし、良かった」
杏寿郎の優しさがさっきから胸にくる。
「不死川さんからの軟膏を、早く渡したかったから行ったの。私こそ、ごめんね。
昨日は弟さんがいたよ。よく似てた。兄弟は二人なの? 」
ひなたは、あまねからもらったバッグをごそごそと探る。この中に軟膏を入れているから渡さねば。
「ああ!弟の千寿郎と俺の二人兄弟だ。弟は六歳下で、真面目な子だ。君は?兄妹はいるのか」
バッグを探るひなたを眺めながら杏寿郎は言った。
「私はひとりっ子なの。兄妹欲しかったな。お兄ちゃんとか」
煉獄さんが良いお兄ちゃんっぽいので、なんだか羨ましくなって言った。
「俺は妹も欲しかった」
「あ、あった。お兄ちゃん、これ」
兄弟の話をしていたので、ついお兄ちゃんと言ってしまった。杏寿郎は黙って聞いているだけで、何の突っ込みもしなかった。
軟膏を3本、煉獄さんに差し出した。