第5章 流星群が誘う旅
ひなたは白梅の枝から、良さそうな場所を選んで、あまり切り過ぎないように気をつけて切り取った。
「煉獄さん、切ったよ。もう大丈夫」
「よし! 」
杏寿郎は木から離れると、またゆっくりと姿勢を低くしてくれる。ひなたが降りやすいように手を添えてくれた。
肩から降りると、今まで見えていた景色から、いつもの目線になってしまった。煉獄さんの肩の上は、ワクワクする世界が見れた。白梅の枝を見せると杏寿郎はにこりと笑った。
「ありがとう煉獄さん。これでおじいちゃんが喜んでくれるわ」
「お役に立てたようで何よりだ。ところで、君のお爺様はご息災なのか」
ひなたは杏寿郎を見上げる。どこまで話せば良いのだろう。未来から来たこと、話しても良いのかな。
信じてもらえるのかな…。
「どうした? 」
何から話そうかと思って考えていると、煉獄さんはそんなひなたの事をじっと見ている。
「話したくないなら構わない。ただ、何か立ち入った話なのか? 」
心配してくれているんだ…と思った。白梅の枝を切りたいなんて、変わった事を言ったから。
「ううん。私のおじいちゃんの家の白梅がね、大嵐の時に折れてしまって。だから白梅が欲しかったの。煉獄さん、ありがと」
本当の事を言っても煉獄さんを混乱に陥れるだけだ。
「そうか!その枝が育つといいな!俺の家にも白梅はある。その枝が上手く育たない時は俺の家のを試すといい! 」
ひなたは杏寿郎の優しい言葉に胸がキュッとなった。
煉獄さんに話してしまいたい、そんな思いが突き上げてきていた。
「ありがとう。実はね、おじいちゃんは寝込んでて…。元気になって欲しくて持って行くの」
早くおじいちゃんに会いたくて、いつの間にかひなたの目には涙が溜まっている。