第5章 流星群が誘う旅
「立派な白梅の木だな」
木を見上げて杏寿郎は言った。
「うん。私が見てた時よりずっと若いけどね。立派だね」
無意識に言って木を見上げたら、杏寿郎がひなたを見ていた。
「何を言ってるんだ? 」
「何でもない。煉獄さん、木に登れる? 」
杏寿郎に追求されないように急いで言った。
「ああ、それは造作もない事だが、せっかくなら君が切った方が良くないか? 」
杏寿郎は悪戯っぽく言った。
「俺の肩に乗るといい!丁度良い所に手が届く高さになるだろう! 」
とても良い提案をしたかのように堂々と言われたひなたは、一瞬たじろいだ。
「無理だよ。煉獄さんの肩に乗るなんて。私背があるから、けっこう重いの」
「大丈夫だ!君くらい担いで走るなど朝飯前だ。遠慮はいらん!さあ乗れ! 」
すっごく元気に言われてしまって、申し訳ない気持ちになった。
「さぁ、早く」
白い羽織の肩をひなたの方に向けてくれる。
「ごめんなさい。じゃ、遠慮なく…」
煉獄さんの肩にお尻を置いた。見るからにがっちりして肩幅が広い。ひなたのお尻を手で支えると、杏寿郎はしゃがんだ姿勢からスクッと立ち上がった。
「きゃっ! 」
一気に視界が高くなる。ひなたは思わず杏寿郎の頭を掴んだ。
「ああっ、産屋敷乙女、目を塞いだら見えないんだが…」
ひなたの手が杏寿郎の目を塞いでいたらしい。
「ごめんなさい!! 」
「ああ。届くか? 」
杏寿郎は白梅の木に近づいた。今まで見上げていた枝がすぐ近くにある。ひなたは歓声をあげた。
「わあ!煉獄さん、枝に触れる!!触れる! 」
煉獄さんの肩と手に支えられている事を忘れて喜んで弾んでしまった。
「ははは!切れそうか? 」
杏寿郎の明るい声がお尻の横から響く。
「うん!ハサミを出すからちょっと待ってね」
「慌てなくていい。ゆっくり。怪我のないようにな」
「うん! 」