第5章 流星群が誘う旅
「うん。すごく怖い顔をしてるけどね。多分優しいの」
私の知ってる不死川先生のご先祖様なら、きっと優しい人に違いない。ひなたはそう思った。不死川先生は本当に良い人だ。
「そうか!君は彼と親しいのか? 」
彼の子孫とは親しいよ。とは言えないから、ひなたは煉獄さんを見上げてニッコリ笑うだけにしておいた。
「それとね、背の高い煉獄さんにお願いがあるの」
「ん?何だ」
「産屋敷家の白梅の木、枝を取りたいんだけど背が届かないの。よじ登る訳にもいかなくて。これでしょ? 」
煉獄さんはひなたの着ている着物を見て頷いた。
「それはそうだな!着物を着て木登りをする乙女など見たことがないな。君がどんなにおてんばでも無理だろう!ははは!! 」
明るく笑う。目が細くなる程の笑顔で、通りに響くかと思うくらいの声だ。
「それはそうだよ!あまねさんに見つかったら何て言われると思う? 」
「あまねさんとは、お館様の御内儀か」
煉獄さんは笑うのをやめて静かに言った。
「うん」
産屋敷家の門の前まで来た。煉獄さんが開けてくれて、その腕の下を通ってから入った。杏寿郎の側に近づいた時、ひなたの身体から微かに、優しく鼻腔をくすぐる香りがして、杏寿郎は一瞬目が開いた。
「母上…」
一瞬、母の香りがした気がした。香水だろうか。母もこんな優しい香りのする人だったと思い出す。
「煉獄さん?入らないの? 」
先に入ったひなたが振り向く。杏寿郎は門を閉めるとひなたの方へ歩いて来た。
「良い庭だな。白梅はどこ? 」
美しい庭を眺めて煉獄さんは言った。
「こっちなの」
煉獄さんを案内しながら歩く。