第5章 流星群が誘う旅
ひなたは今、自分の手に触れた手の温もりを思い出す。
会えたんだ…子供の頃の輝利哉に…。
小さな頃から、白梅の側で心を慰めていたんだね…。よく分かったよ。
一刻も早く、白梅の枝をもらって帰らないと。
ひなたは白梅を見上げた。枝をいただく許可は耀哉にもう貰っている。あとは、この木によじ登り、小枝を拝借するだけだ。
木に触ってみて気がついた。今日もひなたはあまねに着物を着せて貰っていた。紫と緋色の花が咲いている明るい着物だ。
可愛いけど、この着物で木登りは無理だ…。
困りながら庭をうろうろしていると、裏口の門の前まで来てしまった。
うーん。と悩み、産屋敷亜貴光さんか誰かに協力をお願いするか、それとも自分で着物をたくし上げてよじ登るか…。
裏口から出てしまった。周りの景色は、ひなたがよく知る現代の面影はほとんどない。都心であるけれど、ひっそりとして周りに住居はなかった。
いつの間にか随分と歩いて来てしまった。そろそろ戻らないと。さっきよりずっと遠くに来ていたようで、商店がポツポツと現れて、立派なお宅も並んだ通りに出ていた。
また屋敷に引き返そうとした時、通りの向こう、お豆腐屋さんらしきお店の角から見覚えのある男性が歩いてくるのが見えた。
鬼殺隊士が着ている制服に似ているな、と思ったら派手な髪の色をした青年である。金髪青年だ。
金髪青年は白い羽織を靡かせながら歩いていて、颯爽とそよ風の中を歩いていた。
「ああっ、あの人だ!! 」
また会った。偶然にしてもタイミングが良すぎる。なんてありがたいんだろう!