第5章 流星群が誘う旅
「お父さんとお母さんって、耀哉さんとあまねさんね? 」
女の子は頷いた。
「君…私のお母様に似てる…」
さっきより少し落ち着いたのか女の子は、ひなたの顔を見て言った。
「お母様に会えたみたい」
頬を染め嬉しそうに笑うので、ひなたは女の子の頭を撫でて、巾着の中からハンカチを出してその頬を優しく撫でた。
「私ね、産屋敷家の人間なの。産屋敷ひなた。あなたは? 」
ちょっとドキドキしながら聞いてみる。胸の中では、この子が誰だか分かっている。でも、聞かない方が良いのかな…この子達は、名前をできるだけ明かさずに暮らしている筈だもの。
「やっぱり聞くのはやめておくね。あなたが、言いたくなったら教えてくれたらいいよ。もう涙は止まったね。良かった」
女の子は頷いて白梅を見上げた。
「私、この木が大好きなの。この木の側にいると、お父様とお母様と一緒にいる気がするから」
「いつも離れて暮らしているの? 」
子供の目線に合うように、屈んだままで顔を見ていると、とっても綺麗な目をしている。まだ6歳くらいに見えた。
「ううん。一緒に暮らしているんだけど、時々、お父上が子供達を別の屋敷に送り出すの。私達の安全のためなんです」
女の子は顔を上げてひなたを見た。
「私もう行かないと。妹達とお勉強の時間です。失礼します」
礼儀正しく頭を下げると、屋敷の方に戻って行った。
後ろ姿を見ていると、途中で足を止めた。
振り向いて、ひなたにニコッと笑うと、また歩いて行った。