第5章 流星群が誘う旅
「じゃあこっちです。手鏡とか便箋とか櫛とか髪留めとか練り香水とか、女の子が好きそうなものがある店ですよ」
連れて来てもらったお店は後藤さんが言っていた通り、お花の模様の雑貨などが並んでいて、お店の中は女の子のお客さんで一杯だった。
「俺は外で待ってます。ゆっくり見てきてください」
「行って来ます」
黒づくめの後藤さんは、女の子っぽいお店に入りにくそうにしていた。なるべく早く戻るつもりでお店の中に入ろうとしていたら、大きな声がした。
「兄ちゃん!何してるのよ、こんなところで!! 」
着物姿の若い女の子が後藤さんに話しかけた。
「おっおう!早苗」
早苗と呼ばれた女の子は、後藤さんと一緒にいたひなたを見て驚いた顔をした。
「ちょっ、兄ちゃん。恋人できたの⁈ 」
後藤さんは真っ赤な顔をして否定した。
「んな訳ねーだろ。お前、今日休みなの? 」
「休みだよ。昨夜凄かったんだから。音柱様の闘いの後の処理してたの。さっきまで仕事して疲れたから帰って遊びにきたとこ」
「お前、仕事して疲れたなら寝ろよ」
お兄さんの顔になって妹を心配する後藤さんは優しくて、早苗と呼ばれた妹さんはえへへと笑った。
「だって練り香水欲しいんだもん。ね、二人はどこで出会ったの⁈ 」
さっきから、ひなたは早苗の顔を見ながら、どこかで見覚えのある顔だと思っていた。そしてこの話し方…たった一人思い当たる人がいる。
「紗奈…」
早苗は、友達の紗奈にそっくりだ。今時のメイクをしている紗奈とは仕上がりは違うけど、早苗ちゃんも可愛くメイクしている。目鼻立ちは本当にそっくりだった。
思わず紗奈と呟いた。