第5章 流星群が誘う旅
「それでは行って来ます! 」
ひなたを迎えに来てくれたのは全身が黒づくめの男の人だった。背中に『隠』と白い文字が入ったスタイリッシュな服装。動きも早くて、アーティストのライブで踊っているダンサーに見えてしまう。
「はじめまして。俺は後藤と申します。今日はお嬢様を街にお連れして薬局で用を済ませた後は、お嬢様がご興味のあるお店にお連れするよう承っております。遠慮なく、何でもお申し付けください」
まだ若い男性だ。ひなたと年齢が変わらないような雰囲気を感じたので、今日はお世話になる事だし、気を使わないでもらおうと思った。
「宜しくお願いします。産屋敷ひなたと申します。良かったら敬語は抜きで話しませんか」
その途端、男性は冷や汗をかきながら頭と両手をブンブン振った。
「とっ、とんでもありませんっ!あまね様と同じお顔をされた方に、タメ口で話すなんてぇぇっっっ!! 」
冷や汗を流しながら言われてしまうと、ひなたはそれ以上言えなくなるけれど、この後藤さんと言う男の人は、なんだか不思議と親しみを感じるのだ。
「さ、お嬢様参りましょう。この先まで暫く歩いて貰いますが、車を用意してありますので、そこから街まではそう時間掛かりません」
「暫く歩くのはどうしてですか? 」
「お嬢様だから申し上げますが、産屋敷邸の場所は外部の人間には決して知られてはなりません。車を離れた場所に待って貰うのはそのためです。お嬢様が歩くのが大変なら、俺が背負います! 」
キリリっとした瞳で見られて、ひなたは恐縮してしまう。
「いえっ、いえっ!歩きたくないわけじゃなくて、何でなかぁって思っただけです。平気です! 」
ひなたはさっさと歩いてみせた。