第5章 流星群が誘う旅
あんなに強い力で打ち込まれていたのだ。ひなたは青年の腕を持ち制服の腕をめくった。
「む? 」
制服は特殊な生地で出来ているのか、しなやかで張りがあり強靭な素材に見えた。腕の全てが見える所までは袖を上げる事はできなかった。金髪青年の腕はしっかりと鍛えられていてがっちりとしている。だが、スルリとずらして見える範囲の肌は赤くなり、そのまま放置すれば腫れ上がってしまいそうだ。
「やっぱり。すごく痛そうじゃない!家に入って手当てしてもらおう! 」
青年の腕を取り屋敷に連れて行こうとしたひなたの手を、金髪青年は優しく掴む。
「いいんだ」
「どうして?こんなに赤くなってるのに」
痛いことが大嫌いなひなたは、青年を見上げた。
「この家の方にご迷惑をかけたくないんだ」
青年は静かに言った。
「これくらい慣れているから、心配はいらない」
「でも…」
青年はひなたに軽く微笑むと、目を上げて産屋敷邸を眺めた。間近で見るとこの青年の瞳は、光と同じ色の虹彩の中にザクロの実やルビーを連想するような透明感のある美しい赤の色をしている。
屋敷や庭を眩しそうに視線を移しながら眺めているのを、ひなたは見惚れるようにその瞳の動きを目で追った。
「さて。帰るとするか」
青年は眺めていた屋敷から視線を戻した。ひなたも青年の顔から視線を外す。見惚れていたのがバレないよう、少しだけドキッとしながら。
「君は、隠ではないようだな。この家の人? 」
金髪青年に見つめられ、ひなたは慌てて頷いた。
「う、うん。関係者」
「そうか」
『かくし』って何だろう?ふと疑問が浮かんだ。
「それでは俺はこの後任務があるから帰る。産屋敷乙女、ありがとう! 」
青年は爽やかに笑うと、門扉を開けた。産屋敷邸の門扉は縦にも横にも長くて、大人でも開けるのに苦労するほど重厚な扉であるのに関わらず、青年は片手で開けていた。
開けた先には黒ずくめの服の人が立っていて、金髪青年に頭を下げた。
別の黒服が扉を閉めて、ゆっくりと扉が閉まり金髪青年の姿を隠した。