第5章 流星群が誘う旅
しかし耀哉が話し出すと、並んでいた者達は頭を垂れ、深く聞き入っていた。不死川さんまで静かに聞いている。
耀哉の声は心地良く聞く者の胸に染み渡り、この人の為ならどんな困難も乗り越えて仕えたいという気持ちにさせる不思議な響きと温もりがある。
ひなたも、静かに聞きながら柔らかな声の虜になっていた。
…すごく良い声…好きだな…。
さっきの金髪青年は、皆のいる場所から少し離れた場所に座っていたけれど、全身黒ずくめの人達に促されていなくなった。
耀哉は流れるように話を続け、何か別の議題について、今度は会議のようなものが始まる。
ひなたは覗くのをやめて、そっと障子の影に隠れた。さっきの金髪の青年の事が気にかかる。
また畳を這いつくばるようにして、広い広い座敷の間を移動し、襖から廊下へ出た。
部屋には帰らず、廊下を抜き足差し足で玄関へと向かう。
そろりと靴を履くと、音をさせずに引き戸を開けて玄関から表に出た。
まだ午前中なのか、日差しは明るくて、手入れの行き届いた庭園が美しかった。立派な松がある。庭の中央部ではさっきの人達が揃っているので、そちらには行かないよう、見つからないよう細心の注意を払いながら屋敷の周りを歩いた。
やはり広い敷地には輝利哉の家と同じように水路が作られて鑑賞できるように石の橋が渡してある。陽光の中、水辺の涼やかな流れと水音が爽やかで心地良く、爽快な眺めだ。
建物の裏手になる場所まで来ると、青い葉の紅葉と苔むした岩の緑とが、はっとするほど美しかった。調和の取れた庭づくりは、貴族の嗜みというか、産屋敷当主の美意識の極みだ。
あの人は、もういないのかな…。