第5章 流星群が誘う旅
一方的に攻撃されているのに怯む事も逃げる事もなく、全ての拳を受け切った金髪に、居合わせた人達から小さなどよめきが起こっていた。
ひなたから見ても、金髪青年の態度は堂々としており、体格の良い二人が大暴れする事なく幕引きになった事は驚きだった。
金髪青年に何かを言い残し、くるりと身体の向きを変えてこちらに歩みだそうとした銀髪青年の顔を見たひなたは、隠れている事も忘れ声が出そうになった。
「しっ!しっ!不死川さんっっ」
そう。振り向いた銀髪青年は、不死川実弥だったからだ。
「……うそ! 」
口元に手を当てて、信じられない思いで不死川さんを見た。何故ここに不死川さんが…。
不死川さんの顔には怒りや苛立ち、ギラギラとした熱い衝動みたいなものが身体中から溢れていて物凄い迫力と威圧感があった。
少なくとも、可愛い子供達を相手にする先生と言うよりは鍛え抜かれた戦士にしか見えなかった。ギャングにも見えた。前がはだけている。
固唾を呑んで見つめるひなたの耳に優しく流れ混んで来たのは、耀哉と思われる男性の発する言葉だった。
男性は、目の前で猛る男達を微動だにせず、一言も発する事なく静かに見つめていた。そして銀髪が静かになると初めて、その上品な身体から穏やかな言葉を発したのだ。
「実弥」
その瞬間、不死川さんは地面に額が着くほど土下座をした。
「…申し訳ありません。熱くなりすぎてしまいました」
「うん」
男性は正座になり静かに不死川さんに答えた。男性の横には白髪と黒髪の可愛いらしい子供が寄り添うように座っていた。
「杏寿郎。柱になるための条件、君ならよく知っているね。実は、帝都付近で十二鬼月である可能性の高い鬼の情報が入った。君にはその討伐任務に当たってもらいたい」
男性が言った言葉の意味はひなたにはよくわからないものだった。