第5章 流星群が誘う旅
その気持ちは説明するのが難しいから口には出さないけれど、あまねらしい丁寧で上品な物腰でひなたに語りかける。
「まだお休みになられた方がよろしいかと存じます。お布団をご用意致しておりますので、ご案内致します」
「すみません。ありがとうございます」
ご好意に甘える事にして、ひなたは産屋敷邸の中にある客間に用意されたお布団の中に潜り込んだ。
先程のひなきちゃんとにちかちゃんが、枕元にお水の入った水差しとグラスの盆をそっと置くと、ひなたをキラキラした目で見る。
「ごめんね。突然来たのに良くしてもらっちゃってるね」
「いえ」
二人は声を揃えて言った。流石は双子で綺麗なハーモニーだった。
「お母様にとてもよく似ていらっしゃいます」
「先程はお母様がお二人いらっしゃるようでした」
ワクワクする、と言ったような瞳で期待一杯の目でひなたを見つめている。
そうだよね。大好きなお母さんにそっくりな女が庭に倒れていたら、普通は好奇心でいてもたってもいられないはずだ。
この子達は上品だから、『なんで、なんで⁉︎ 』って聞いてこないけど、胸の中でははち切れそうなくらい、この謎にワクワクしてるに違いなかった。
ひなたは、水差しからお水を注いでグラスを持つと、二人にいただきますと言ってから一気に飲んだ。
冷たくて、すごく美味しいお水だった。
グラスの冷たい感触を指先に感じながら、どこから話せばよいか考える。
「ん。あのね、私、白梅の木を探してるの」
女の子達は顔を見合わせる。
「私のおじいちゃんの家にある白梅が、大嵐で折れちゃって、それが悲しくておじいちゃんは寝込んでしまったの。私ね、おじいちゃんに白梅を持って行ってあげたいの。同じ白梅は、産屋敷様のお宅にしかないんだ」
伝わるか、自信はなかった。