【SLAM DUNK】さよならロストジェネレーション。
第2章 #2:問題児軍団
大学の授業が終わり、私は急いで湘北高校に行く準備に取り掛かった。
時計の針は17時50分過ぎを示している。
爆速で自転車を漕いでも、高校に着くのは18時を過ぎたくらいだろうか。
すでに部活は始まっているだろう。
5限まであると、練習に参加するのはきついなぁ。
私は自転車に跨って湘北高校を目指す。
あぁ、さらば。
私のキャンパスライフ。
きっと、他の子達はサークルに入ったりバイトをしたりして友好関係を築きあげていくんだろう。
アシスタントコーチを引き受けた以上、仕方が無いことだし、引き受けた時からこうなるとわかっていてそうしたんだから、嘆いている暇なないんだけど。
それでもこれでいいんだと思えるのは、やっぱり彼等の練習試合をこの目で見てしまったから。
噛み合っていなくて不格好でお世辞にも強いとは言えないチーム。
だけど、心の底から楽しいと面白いと思わせてくれるチーム。
彼等が勝ち進む姿を強く望んだ、パパのように。
ワクワクする気持ちなんて、いつ以来だろう。
心がこんなに踊っているのが不思議だ。
なんだ、私。
やっぱりバスケが好きなんじゃん。
くすぐったい感情がこみあげてきて、油断すれば涙が零れそう。
湘北高校に着いて、私は体育館へと向かった。
ちょうど小休憩の時間だったらしく、体育館にはいると部員は大きな声で挨拶をしてくれた。
「先生」
キャプテンの赤木君の言葉にパパはにっこりと笑って、
「きのうはいい試合をしました。がんばればいつか、きっといい思いができますよ。君達は強くなる……」
パパの優しくも力強い言葉に部員たちの表情は明るくなった。
「では、さんからも」
「パ……、安西先生も仰ったように君達は強くなる素質を持っています。それは間違いない。でも、漫然と漠然と練習しただけでは強くなるものも強くならない。今自分に何が足りないのか、どこを重点的に強化していかなくてはいけないのか、ちゃんと意識して練習に取り組んでください。何か質問があれば遠慮せずに聞きに来てください。君達の役に立てるよう努めます」
「ありがとうございます!!」