第6章 偏執
「ケフカ様!」
兵がこちらを見るなり寄ってくる、敬礼の後に緊張した面持ちで言葉を紡いだ。
「本日中に東の大陸に着く予定です!」
「よろしい」
横目に見るも水平線の先にまだ限りは見えない。024に向き直ると腕をひいた。さて、コイツをどうしたものか。予定ではドマとの接触を避け獣ヶ原から陸に上がる。表向きは東の地の偵察だが、幻獣縁の地の探索が主な任務だ。もちろん一般兵はそれを知らんので帝国にある地図が正しいか測量し、偶然見つかる予定となっている。
とはいえ幻獣の情報は伝承しか残っていない、俺としては024の魔法実験を行う事が主な予定といえた。
「さて、剣を振り回したいお前には悪いですが今回は魔法を使ってもらいますよ」
「魔法を?」
「そうだ、そもそも魔法とは口で教えられて出来るものではないのだ。しかしお前は自発的に魔法を習得している……」
そう、おかしいのだ。魔導士ではない人間なら魔石から感化されて習得する、かといって魔導士にしては覚えが悪く“見聞きした技”しか覚えない。ここで俺が考えたのはコイツが魔法生物である、という点だ。
幻獣たちから魔導の力を得る伝承、魔導士たち。だがその実態は人間性の喪失が魔導の力を呼び起こし人間を幻獣化させるものだ。