第6章 偏執
結局、朝食を半分ほど食べた。024はやはり笑った、あの女はよく笑う。意味のある破壊とは苦痛なものだ、しかし早目に断つ必要があるかもしれない。あれはティナに向けるのに必要ではあったが、俺に向けられたとなると話が違う。俺に無いものだからティナが暴走し逃亡を企てた、充てがうのに丁度いい存在だった。孤独と愛情がありあまった女、───“愛情”ね。
「ケッ、ひひ」
「……ケフカ様」
何を思ったか024が背後からわたしを抱えるように腕を回した、思わず体が強ばる。怯えたようで気に入らず肘で押しやった。
「いきなり飛びつくんじゃない!何の用なのだァ!?」
「あ、いえ、その……」
024は言いづらそうに口ごもると頬を染めて目をそらした、今度こそ腹の底に留まらず背筋がゾッとした。サッと耳を塞いで身体をくねらせる。
「僕ちん知〜らない!」
「ああ……」
苦笑が返ってきたものの、それ以上の言葉を飲み込む。そうだそうだ、それでいい。言うな、皆まで言わずとも身に染みている。俺には与えられぬもの。