第6章 偏執
「……ではなぜ名前が分かる」
「えっ……、」
024は考え込んだ。思い出す元が中に眠っている、その証拠に過ぎない。ホットケーキにナイフをいれシロップを絡めると一切れ突き出す。024は一瞬間を置き、それを口にした。
「お前は魔法生物で臓器や筋肉はもう生命活動にほぼ関与しない……なら、必要ないものは全部取り出してしまっても問題ない訳だね?そうでしょう?」
そう、生前の記憶など必要がない。記憶にある人間はお前を捨てたヤツの筈だ。生前、死にかけて俺に“何か”をみて謝罪を繰り返したり、夢で置いていかれたり。生前のお前は本当に気に入らない。
「あ……、でも……」
「なんだ」
「……食べる機能は、残して欲しいです」
たべる?他の部位を差し置き何故そんな機能にこだわるのかと首を傾げる。024は一度物憂げに皿を見やり、俺に視線を戻した。
「ケフカ様と共有できる、感覚なので」
は?と口を開けてしまった。共有、だと?