第6章 偏執
早朝から言い争う声に024は戸惑った顔をした。が、ケフカが装置に手をやり管から開放されると表情を綻ばせる。
周りがざわつく中、ケフカは024を伴い研究所を後にした。特別な事は何もなかった、ただ“外に出たい”という話が数日前にあってケフカが強行したのだった。
「風、気持ちがいいです」
「フン、外気にあてられて劣化していく事が気持ち良いですか。寿命が縮んでもシラナイですよ」
「はい、……ありがとうございます」
簡素かつ清々しい返事に盛大に鼻を鳴らし、道化は肩を竦めた。
……それほど日が経たないうちに024はモンスターか人間かはさておき、カテゴリーが魔法生物となった。つまりは動く死体ではなく、時間はかかるが怪我や劣化は魔力で自己治癒できると判明したのだ。
それからというもの、たびたびケフカは暇潰しという名目で024を連れ回す機会が増え、奇妙な関係は細々と続いた。
情と呼ぶには身勝手で、誰かの身代わりと言うには何の期待もなく、ただ───“生きていること”を肯定し合う存在として。
「───ケフカ様」