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魔導人形

第6章 偏執


眼前にしゃがむと雨がリフレクトの繭に遮られ、女は雨に滲んだ血をポタポタと顎から滴らせた。顔を覗き込み、若い女剣士だと分かるとケフカは露骨に嫌そうな顔をした。言いようがない不快感が腹の底を焼く。

「女は守られていれば良いものを……、そんなものオモチャにするから早死にするんですよ」

「……ごめんなさい、……ごめんなさい」

おそらく自分の前に居るのが誰かも分からないほど意識が曖昧なのだろう。ケフカは小首を傾げ、手の平に魔力を溜めた。一思いに楽にしてやろうという考えが過ぎった自らに舌打ちし、集めていた魔力を放出する。

「お前、不愉快なんだよ。
……良いでしょう、“たすけて”あげますよ」

丁度、新しい魔法の人体実験に生きた身体が必要だった。それも瀕死でなければならない。回復魔法とはいえ仕組みを無理矢理変えられた強いエネルギーをもつものだ、失敗すればダメージとなって死ぬ。魔法の性能にしろ傷の深さにしろ完治する見込みもほぼないが“たすける”事にはなるだろう。
幸いゾゾの人間はシドールの奴らに金を掴ませ黙認させて何度も実験の為に拐っている。死にかけの女一人を拾った所でどうにでもなるだろう。


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