第6章 偏執
ゾゾ。ここに来たのは反勢力の粛清も理由だったものの、研究への協力を拒む者や“失敗作”の掃除も名目にあった。投降する姿勢がなければ殺していいという話だったが、ここの住人は言うことを聞くような奴等ではない。
久しぶりの虐殺にケフカは心躍っていた。普段から湧き上がる破壊衝動を持て余し自傷がつきなかったが、今回は我慢をする必要がない。身を内側から突き破りそうな魔力を吐き出し自由になれる。
いくら雨が降ろうが消しきれない炎が辺りに満ち、残虐行為を咎める者は居らず、高笑いと共に道化の後には死体の道が作られた。
あらかたの住人が逃げ出すか死ぬかしただろう、街を見渡して数階上から瓦礫の山に降り立った。
「……て……」
か細い声がした。一人ずつ丁寧に火だるまにした筈なのに息があるとは珍しい、どんなヤツだろうか。とケフカは辺りを見渡した。
少し先に自らの血で濡れた剣を地に突き立てている女が見えた。かろうじて腕を伸ばしたが崩れ落ちる、……燃えた様子がない。兵士が先に手を出した?反抗した住人だろうか、……にしては最初に逃げ始めていなかった。ケフカは首を傾げた。
「───おや、」
「たすけて……」
女の手がマントが掴んでいた。