第5章 拠り所
眺めていると鋭くひるがえった刃が眉間目前でピタリと止まる、一瞬遅れて冷や汗がドッと溢れるのを感じた。こちらも抜刀し反らすように刃を撫でる。
「おっ?私と遊んでみますかぁ?」
「お手柔らかにお願いします……」
苦笑いを返せばケフカ様の薄笑いが深くなる。ケフカ様と1対1で対峙するのは研究所の外では初めてだった。剣を使うのは苦手では、ない方だと思う。でもケフカ様は無尽蔵に魔力を刃に乗せてでたらめな動きで急所を突いてくるもので、私は何度も膝をつく羽目になった。
「ぐっ……かは、っ……!はぁ……は、……ッ」
「おやおや、これで4回は死にましたよぉ024?剣はやっぱりお前には向かないんじゃな~い?」
「……っ」
急所を突かれた痛みに乱れる息を無理やり吐いて立ち上がる。なぜだろう、剣を持つと戦わなければという気持ちにさせられる。戦いの象徴のようなものだからだろうか?
「やれやれ、降参は早めの方が楽です、よ……ッ!」
「……!!!」
ケフカ様の剣をいなして防御するのではなく、切っ先を弾き飛ばしてそのまま一直線に喉を狙う。腕を伸ばしきり寸でで喉をとらえたそれを見、ケフカ様は愉快そうに笑った。
「おおっと、殺られてしまいましたぁ」