第5章 拠り所
悲しみだけがあった、憎しみに燃えた双眸を見つめ返す。私は、それほど生きる事に執着はない。ケフカ様が必要としてくれるからここにいるだけ。だけどそれが苦しいというなら、死んだって構わない。その痛みが消えるなら。
「っ、……意味のある破壊など、つまらん!!!意味もなく壊すから楽しいんだよ……!破壊だけが私がここに存在する意味なのだ!!」
吐き捨てるように言葉を連ねると、ゆっくりと頭を抱えて縮こまる。……なんて矛盾した人だろう。ケフカ様は……、生きていたいのだ。けれど生きていたい理由が、意味が、見つけられない。理由なんてなくても生きていて良いのに。
“意味のない破壊”だなんて、破壊したい理由なんてないって事で。それは壊したくないという事で。だから失う前に、うつろう前に、手のひらにあるうちに全て破壊したいのか。破壊したくない、と感じる前に。いつか意味がなくなるものに意味を見出す前に。
「そうですね、なら全て壊してしまいましょう。……なにもかも全部。しがらみも、立ち塞がる物も」
今度は私がケフカ様の手首を握る、ゆっくり腕を開くと予想外だったらしく呆気にとられた顔がこちらを見上げていた。
「ケフカ様の手段として私は存在し続ける。でもケフカ様が存在できなくなったら……最後に壊すのは、私にして下さい。必要なくなるのですから、構いませんよね」