第5章 拠り所
「ですがケフカ様。貴方は心臓が動いています、人としてここに生きているじゃないですか」
「ヒト?クヒャヒャ……どうしてそう思う?魔導士になってから魔力が底をついた事がない。魔力の定着はまだそう簡単には行えんのだ、代わりが作れないので実験をしないだけで俺は死体も同然……。
箱に入れられた猫は生きていると観測できない、そのままにすれば死ぬ。開けないままでは生きる意味を成さない、ならば元より死んでいるのと同じ事。……フン、確かめずとも明らかに人としての機能は失われつつある。
だがお前はどうだ……024、日に日に生命を取り戻していく……。」
虚ろに語るばかりだったケフカ様の目が明らかに憎悪を宿して私を射抜いた。真っ赤な魔力が底から暗く、暗く、深い色に滲んでいく。気配に捉えられたように身が竦む。
「なぜだ?なぜ死ぬと分かってて生きようとする?
わたしたちは死人に戻る、どうせ無駄になってしまうのに。」
「私、は……」
話がどんどんおかしな方へ行っている。ケフカ様が私を少なからず憎く思うのはティナの事もあって仕方ないと思っていた。でも、それは今や薄らいだと感じていたのに。
「ケフカ様に私の死が必要だというなら、今ここで壊して頂いても構いません……」