第5章 拠り所
「どうしました?」
「あ、いえ……ときどき同じ夢を見るんです。多分生前の記憶、なんですかね。いつも見るその人は異国の人で……だからかな、ちょっと気になって」
その話をした途端ケフカ様の顔色が変わった、それまではいつもより機嫌が良かったが表情を険しくする。なにかマズい事を言ったようだが、検討がつかずに冷や汗を握った。また殴られる……!
「…………。」
想像に反して何もされはしなかった。顔を背け船に乗り込んでしまっただけだ。いつもなら突然暴れだすような人なのに……。腑に落ちないまま乗船する。
中は部屋も少なくケフカ様と同室だ、先ほどのこともあり緊張しながら荷物を整理していたがケフカ様は黙って地図を眺めているだけだった。
「024、話がある。……こちらに来い」
「は、はい……。」
語尾がキツイのを感じながら隣へと寄る。ケフカ様は不機嫌な様子で羽ペンを指先で弄び、コチラを見ようとしない。
「お前、生前の記憶があるのですか。聞いていませんが。」
「えっ……ああ、……記憶があるという程でも……」
「言い訳は良い、内容はどんなものだ」