第5章 拠り所
「………わ、分かんないや」
「ふふ、おそろい!……、うん!あした、シドにききにいこ!」
シド……研究所のあの人か。他の人と違い、あの人は生き物全てに優しい。けれどあの人も結局は研究員。私が仕事の邪魔をしてしまって良いのだろうか……。
───次の日、
朝食を済ませると早々に研究所へと向かう、用もないのにあそこに行くのは変な気分だ。
「シド!おはよ!」
「ティナ?それに024まで……、どうかしたのかい」
「とし!おしえて!とし!!あたしと024の!」
ぽかんとするシドさんの白衣をぐいぐい引っ張るティナ。ケフカ様に育てられたと聞けば納得の奔放さだ。彼女は賢いし思いやりもあるが、幼さ故か時々ケフカ様を彷彿とさせる行動をとる。
「わ、分かった。分かった。ここじゃなんだ、あちらに椅子がある。そこで話そう、良いかい?ティナ」
「わかった!」
「すみません、突然押しかけて……。」
「良いんだよ、私もたまには息抜きしないとね」
通された部屋は来賓の為だろうか?応接室のような作りだ。椅子はフカフカの上質なソファ、穏やかな日差しが入る静かな部屋だ。研究所の他の部屋とは大違いだ……。シドは茶菓子と紅茶を用意し向かいへ腰かけた。