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魔導人形

第4章 恐怖の色


「でもな、ケフカが丁度それを聞いてしまって……。次の日、私は実験を受けずに済んだ……奴が実験を受けたんだ」

「えっ……」

「ふ、……変な話だろう?奴みたいな自己中が、だ。……皆が死んだと思っていたが瀕死の状態からケフカは息を吹き返した、代償に理性を失ってな。だから……私はコイツに返せない借りがある」

セリス様は憂いに満ちた顔をし、ケフカ様から視線を戻した。まるで見ているのもつらい、とでもいうように。私は昔のケフカ様を知らない。今とどう違うのかも分からない。

「………。」

「ははは、なんだ妙な顔をして。確かに未だ府に落ちないがアイツが善意でやったとも限らない、奴はその時の事を覚えていないと言っていたしな」

話は終わった、とばかりに再び沈黙が横たわる。ケフカ様には思いやりやモラルが全くないといっても間違いではないような人だ。論理的、利己的な虚無主義者。でも……セリス様の話が本当なら、根っからそういう人ではなかったのかもしれない。

私は……高笑い以外で笑うケフカ様ですら最近知った。
けど、セリス様はもっと違うケフカ様を知っているんだ。

………私はこんなことで他人を恨めしく思うような心の狭い人間だったろうか……。セリス様は死にかけてケフカ様は実験台にされた。なにも、羨むようなことはないのに。
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