第1章 実験体
だが笑いながら避けられてしまい再び魔法を打ち込まれるだけだった。暫くの攻防戦……というよりか一方的になぶられる時間が続いた。徐々に足がもつれだし起き上がるのにも苦労しだす。髪の先が焦げ、電撃による痛みに呻く。瓦礫に突っ伏しもがいていると魔法が止んだ。
「おやァ?そろそろ充電切れですかぁ……それ、っと」
動けなくなった私を俵抱えにすると廃棄部屋の扉を乱暴に蹴り開く。病的なまでの細腕でどうして運べて、あんなに暴れ回れるのか。魔導兵だからか。気力か魔力か名状しがたい感覚が底をつき、電池切れの玩具のように動けず為す術なく運ばれていく。
……気がつけば元の冷凍保管室へと戻って来ていた。
「024!?ケフカ様これは、」
「カァーっ!いちいち五月蝿いですね……!とにかく治せば良いんですよォ!そ!れ!が!
……お前等の仕事だろ?」
普段甲高いケフカ様と比べてドスの聞いた声が地を這う。寒気が走ったが廃棄されなくて済むようだ。管の魔力濃度を調整する為に機械を弄っている人達を見ながら息をついた……のもつかの間。
「次は今日より長持ちしてくれると助かりますねえ。ほほほ」
「う、……っ」
またアレでケフカ様の暇つぶしに付き合わなければならないのか、と肩を落とす。魔力槽の準備が整ったらしく、研究員に外傷の処置を施され管に戻された。
「また来ますからねぇ」
ヒヒャヒャヒャヒャ!と、ケフカ様はのけぞり笑うと部屋を出て行く。それを見送るか見送らないかの内に意識がふつりと沈んで途絶えた。