第4章 恐怖の色
足を踏み出す度に腹が焼けるように痛むものの……動けない事は、ない。辺りから身体に無理矢理でたらめに流れ込んでくる魔力のせいだろう。痛みに目をつぶって覚束ない足取りで立ち上がる。
「さぁ、ティナ……帰りますよ、来なさい。」
「う、うん……。」
しゃくりあげるティナを宥めてやりたいが二人とも血塗れだ……。そこから帰還するまでの道のりはよく覚えていない。その日は睡眠を忘れていた自分が嘘だったように夢を見ることすらもない深い眠りについた。
───目が覚めた時、私はまだアンブルクに居た。昨日と同じベッドと天井。ベッドにもう一人居る感覚に慣れず、また寝つくには至れなかった。……多分こうして隣に寝かされているのは部屋が無いからだけではない。ティナの具合が悪かったから私はここにいる、今の身体にはケフカ様の魔力が流れているのだろう。ケフカ様は静かなものだった。普段あれだけ騒がしいのになんだか違和感がある……。熱でもあるだろうか、と、温度を分かりもしないのに触れてみる。そうして“空虚感”に気がついた。
「……!!!」
瞬間、違和感の原因を理解する。ケフカ様の気配が薄い、真っ赤に輝く魔力は失せて仄かに赤いかそうでないかという程度だ。