第4章 恐怖の色
「い、異常ありません!」
「当たり前だ!もし異常があったならお前の首を文字通りサヨナラさせてやる!」
兵がひぃ、と道を退くとズカズカと進んでいく。野営地というにはしっかりした造りだった、基地という方が正しいかもしれない。この辺りを監視する為の場所なのだろうか?何もない、山を?あの光も見えないのに?基地を抜けると、一本の橋がかかっていた。
「この先は魔物が出ますよ」
「魔物………」
「マモノ?って、どうぶつ?しょうかんじゅー?」
「魔物はどちらでもないんですよぉ、ティナ」
魔物……、研究所でもそうそう見ない。でも、果たして魔物というのは私を含まないのだろうか。私も同じだとするなら、まあ、よく見る事になるか。
洞窟はそれなりに距離があった気がする。しかし私にはそうでも二人はどうだろう。魔物に苦戦もせず溶岩はレビテトで易々と越える。そして私のように耐え難い気配も感じていない。
「……っ、」
「だいじょうぶ……?」
さすがに限界が来ていた。頭が破裂してしまいそうな程ガンガン鳴り、視界はもはや色の暴力で塗りつぶされて前が見えない。近くにいる二人の顔さえ歪み判然としない……。
「全くしょうのない……。」